ー書籍からー
■成熟社会における持続的な成長を目指す会社
日本はこれから人口減少社会の本番を迎えます。その中でも会社は 持続的に成長していかなければなりません。
なぜなら、豊かな成熟社会を作るためには、安心できる社会や精神 的に満足できる生活水準を維持する必要があり、これには高いレベ ルの経済活動の維持が必要だからです。豊かな社会を維持していく ための社会や環境との調和の取れた持続的な成長が、企業にも求 められます。
■企業価値とは
企業価値は、細かな理屈は省きますが、財務理論上は、
企業価値=財務資本・有形資本+無形資本(=知的資本)
=現在の財務的な価値+将来の期待収益(価値)
と表現されます。
また企業価値とは、株式市場においては、
企業価値=株式時価総額
として認識されます。
■知的資本とは
会社の価値である根っこの部分に相当する価値を「知的資本」とい います。知的資本としては例えば、勤労意欲と能力の高い社員、明 快なビジョンと戦略を描く経営者、キラキラと光る独自の技術、安 定した効率よい業務システム、顧客から得ている信頼、取引先との 建設的な関係、名の通ったブランド、などが該当します。
※業績(売上・利益)が果実で、知的資本が根っこ
■工業社会と知識社会
20世紀の社会とは、資源や生産物といったモノに最大の価値があ った「工業社会」と言うことができます。21世紀には、社会は一 人ひとりの知恵が価値を生む「知識社会」へとシフトしていきます 。
工業社会では、市場はモノを待っており、そこに生産物を提供する ことが価値を生む。経営管理についても、生産が価値を生む工業社 会では、マネジメントの仕事とは年度の生産と販売の計画数値(ノ ルマ)を達成するために現場を頑張らせることでした。従って、工 業社会のマネジメントでは期首に策定した計画の進捗を数値で管理 する。
成熟した知識社会の市場で価値を持つものはモノではなく、個人や 社会の価値を高めるアイデアです。それは生産設備ではなく人の頭 脳が生み出すものです。戦略は仮説検証的に進めるしかないため、 知識社会におけるマネジメントとは、現場における仮説検証をいか に実行していくかとなります。従って、知識社会のマネジメントと は戦略の実行可能性を高める具体的な方法を仮説検証プロセスを通 じて練り上げていくことになるのです。
■知的資本の構成
知的資本=人的資本+組織資本+関係資本
人的資本とは、経営陣、社員(従業員)、組織文化
組織資本とは、知的財産、業務プロセス、経営基盤
関係資本とは、顧客資本、ブランド力、ネットワーク力
■知的資本経営とは
知的資本経営とは、会社の根っこである知的資本の強みを活かし、 公器としての会社の姿に磨きをかける、持続的な成長を実現する経 営手法です。
知的資本経営では「会社の価値の源泉は知的資本にある」と考えま す。顧客からの信用や評判、業務ノウハウや技術開発力、経営者の 独創性や社員の能力やスキルに、価値があると考えます。知的資本 経営では、それら知的資本を強化し、価値の源泉の力を高めること を目指します。
そして財務的な成果は、良い会社を目指した結果としてついてくも のであり、直接操作できるものでも、すべきものでもないと考えま す。
ーここからー
知的資本経営とは何かについて少しでも理解の促進が進めばと、自 分なりに再構築しながら書かせて頂きました。何かしら伝わってい たら幸いです。
さて、ここからは自分なりの解釈を含めてお伝えします。
作れば売れる時代が終わったことを認識していない人はいないでし ょう。勝ち残るためには、他社にない差別化された商品やサービス が必要だということについて否を唱える人もいないでしょう。
しかしながら、多くの企業が差別化で苦しんでいるのではないでし ょうか。そして、差別化を目に見える資源や生産物といったモノを 最大の価値としているのではないでしょうか。そのため、本当の自 社の強さを見過ごしているのではないでしょうか。
なぜなら、会社の強みとは数字で表しづらい、見えづらい場合も多々あるからです。
繰り返しになりますが、どうしたら他社にない差別化された商品や サービスが誕生されられるのかが分からない。それを解決するのが 「知的資本経営」だと私は感じました。要はその会社の目に見えな い根っこにある知的資本の中から強みをあぶり出し、その強みを活 用した戦略(商品・サービス)を誕生されるからです。
これって、ちょうど昨年末にやっていた「陸王」そのままだと感じ ました。こはぜや(足袋製造販売の零細企業の社名)の強みである 「あきらめの悪い社風と他に真似できない足袋の製法技術、そして 新たに手に入れたシルクレイというソウルの技術」を強みとして足 に負担を掛けないランニングシューズを開発して成功しました。
これからの21世紀を勝ち残るためには、これしかないないと思い ます。なぜなら、目に見えるモノだけだと直ぐに真似されるか価格競争にな ってしまうからです。そして、知的資本の中から炙り出された強み で生きていくならば、多くの企業が共存共栄できると思うからです。
例えば回転ずしです。スシローやくら寿司など大手チェーン以外に も、今多くの回転ずし会社に勢いがあります。どんな会社かという とご当地の食材やこだわりの調理方法などを強みとした会社です。ご当 地は多々あるので、理論値で言えばご当地の数だけ成功する企業が 生まれる計算になります。
補足ですが、強みも1個ではなく幾つか掛け合わせることで、他社 に真似されない強みになります。100%成功するとは言いません が、普通に差別化を考えるよりも成功する確率は高いはずです。
なぜならその強みが他社なら難しくても、自社にとっては当たり前 にできている普通のことだからです。
最後にまとめると
21世紀に生き残って行く為には知的資本の中から強みを幾つか見 つけ、それを掛け合わせることで他社に真似されない強みとする。 それを活用して戦略(商品やサービス)を作る・ブラシュアップす ることで、価格競争に陥らない戦略(商品・サービス)を世に出せ るのではないでしょうか。
あなたの会社は知的資本の中にある強みにフォーカスをしていますか。