書籍名:魅力的な組織を創るリーダーのための「自律」と「モチベ
著者:真田 茂人
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ー書籍からー
■背景
この十数年日本企業では、MBO・コーチング・ファシリテーショ ン・アクションラーニング・ソリューションフォーカス・AIなど 様々なヒューマンスキルの手法が流行した。これらはすべて、良く できたアプリケーションソフトと言えるだろう。
にもかかわらず、この十数年間で日本企業の人材のレベル、組織の レベルが大幅に向上したとは聞かない。
むしろ人材については、自律性の低い指示待ち人間が増えたと指摘 され、組織体質については個人主義が台頭し、日本企業の強みであ る助け合いや協力する風土が弱体化したと叫ばれている。せっかく 素晴らしい手法が普及しても、むしろ事態は悪化している。 どういうことだろうか?
■企業の悩み
「社員が自律していない」「依存型の社員が多い」とう悩みが多い 。それも驚くほどの数ともいえる。面白いことに、この手の話は表 現は違えど、企業規模の大小や業種を問わない。
■かつてのビジネス環境
自分で考え自分の意見を発信することは、自律というより和を乱す 存在と認識された。その結果、組織の中では冷や飯を食うことにな り、損をすることになる。こういう経験を一度でもすれば、誰も「 自分で考え行動する」ことなどしない。
■役員は自律しているか
ある一部上場企業から驚くべき相談を受けた。「役員が自律できて いない。受身体質で困っている。だから、中期経営計画を作っても 、それを自分のこととして捉えられない。他人事となっているから 情熱が生まれず、結果として実行されない。彼らが、もっと主体性 を持って行動する、実のある中期経営計画を立てさせたい」
一般社員ならともかく一部上場企業の役員が、この状態である。大 手企業での自律不足は、ことほど左様に根深いものがある。
■ある会長と社長のお話し
社長曰く、「会長は『任せたから自由にやれ』と言いながら、実際 は権限を手放さないんです。会長が変わらないと何もできないんで す」。
会長は「進め方は社長と相談してきめてください。今後は私に頼ら ず社長が自分の意志で改革をしていく立場なんですから」と言いな がら、途中からは社長を目の前にして、「いやー、一番変わらない といけないのは社長ですよ。社長がもっと自分の意思を持って主体 的にやっていってくれないと。そして、社員がもっと自分で考える 自律的集団になるように強いリーダーシップを発揮してくれないと ・・・」と独演会になってしまう。
会長自身が社長の自律を妨げ、また社長もその状況を会長のせいに して、現状に甘んじている。
■行先の無いドライブ
モチベーションが高まっていない人、自律的な行動をしていない人 を見ると、ナビの目的地をきめていないケースが多い。
「何がすきなのか?」「どうなりたいのか?」「どうしたいのか? 」曖昧として自分でもよくわからないのだ。これでは、行先の無い ドライブにでているようなものである。
■自律型人材と依存型人材の違い
世間で言われている『自律型人材』とは、「自律的に行動している か」という視点だけでなく、それが「生産的な行動」において発揮 されているかという視点で語られている。
「生産的な行動」が自律的に行われていれば、『自律的人材』と判 断されるし、もしそれが「非生産的な活動」だけでしか発揮されて いなければ、『依存型人材』と判断される。
実は人間は、「真面目に仕事をしよう」とか「サボろう」と考えて 行動を選択しているわけではない。あるいは、「自律しよう」とか 「依存しよう」と考えて行動を選択しているわけでもない。単に【 欲求充足】したいだけである。
■ボスマネジメントと自律型社員は両立しない
どの企業に伺っても、社員の自律性を求める声は大きい。しかし面 白いのは、自律性を求めているにも関わらず、その会社や経営者お よび担当者自身がボスマネジメントを行っていることだ。これは相 反する状態であるから、両立することはできない。
ーここからー
この書籍は今から10年前の2008年に出版されています。しか
この書籍でとても印象に残ったのが、誰も「自律しよう」とか「依 存しよう」と考えて行動を選択しているわけでなく、単に欲求を充 足したいだけだと言っている所です。
根っこは同じなんです。では何によって自律と依存に分かれていく のでしょうか。そのお話は次回にさせて頂きますので、暫くお待ち ください。