Vol.71「自律とは?依存とは?」

書籍名:魅力的な組織を創るリーダーのための「自律」と「モチベーション」の教科書
著者:真田 茂人
リンク: http://amzn.asia/cvEyP0B

ー書籍からー

■背景
この十数年日本企業では、MBO・コーチング・ファシリテーション・アクションラーニング・ソリューションフォーカス・AIなど様々なヒューマンスキルの手法が流行した。これらはすべて、良くできたアプリケーションソフトと言えるだろう。
 
にもかかわらず、この十数年間で日本企業の人材のレベル、組織のレベルが大幅に向上したとは聞かない。
 
むしろ人材については、自律性の低い指示待ち人間が増えたと指摘され、組織体質については個人主義が台頭し、日本企業の強みである助け合いや協力する風土が弱体化したと叫ばれている。せっかく素晴らしい手法が普及しても、むしろ事態は悪化している。どういうことだろうか?
 
■企業の悩み
「社員が自律していない」「依存型の社員が多い」とう悩みが多い。それも驚くほどの数ともいえる。面白いことに、この手の話は表現は違えど、企業規模の大小や業種を問わない。
 
■かつてのビジネス環境
自分で考え自分の意見を発信することは、自律というより和を乱す存在と認識された。その結果、組織の中では冷や飯を食うことになり、損をすることになる。こういう経験を一度でもすれば、誰も「自分で考え行動する」ことなどしない。
 
■役員は自律しているか
ある一部上場企業から驚くべき相談を受けた。「役員が自律できていない。受身体質で困っている。だから、中期経営計画を作っても、それを自分のこととして捉えられない。他人事となっているから情熱が生まれず、結果として実行されない。彼らが、もっと主体性を持って行動する、実のある中期経営計画を立てさせたい」
 
一般社員ならともかく一部上場企業の役員が、この状態である。大手企業での自律不足は、ことほど左様に根深いものがある。
 
■ある会長と社長のお話し
社長曰く、「会長は『任せたから自由にやれ』と言いながら、実際は権限を手放さないんです。会長が変わらないと何もできないんです」。
 
会長は「進め方は社長と相談してきめてください。今後は私に頼らず社長が自分の意志で改革をしていく立場なんですから」と言いながら、途中からは社長を目の前にして、「いやー、一番変わらないといけないのは社長ですよ。社長がもっと自分の意思を持って主体的にやっていってくれないと。そして、社員がもっと自分で考える自律的集団になるように強いリーダーシップを発揮してくれないと・・・」と独演会になってしまう。
 
会長自身が社長の自律を妨げ、また社長もその状況を会長のせいにして、現状に甘んじている。
 
■行先の無いドライブ
モチベーションが高まっていない人、自律的な行動をしていない人を見ると、ナビの目的地をきめていないケースが多い。
 
「何がすきなのか?」「どうなりたいのか?」「どうしたいのか?」曖昧として自分でもよくわからないのだ。これでは、行先の無いドライブにでているようなものである。
■自律型人材と依存型人材の違い
世間で言われている『自律型人材』とは、「自律的に行動しているか」という視点だけでなく、それが「生産的な行動」において発揮されているかという視点で語られている。
 
「生産的な行動」が自律的に行われていれば、『自律的人材』と判断されるし、もしそれが「非生産的な活動」だけでしか発揮されていなければ、『依存型人材』と判断される。
 
実は人間は、「真面目に仕事をしよう」とか「サボろう」と考えて行動を選択しているわけではない。あるいは、「自律しよう」とか「依存しよう」と考えて行動を選択しているわけでもない。単に【欲求充足】したいだけである。
■ボスマネジメントと自律型社員は両立しない
どの企業に伺っても、社員の自律性を求める声は大きい。しかし面白いのは、自律性を求めているにも関わらず、その会社や経営者および担当者自身がボスマネジメントを行っていることだ。これは相反する状態であるから、両立することはできない。
 
ーここからー

この書籍は今から10年前の2008年に出版されています。しかしながら、今事として読んでも全く違和感がないこの現実に改めて驚きました。10年前も「自律していない」とか「依存体質」とか言われ、現在は更に深刻になっているではと感じています。

 
この書籍でとても印象に残ったのが、誰も「自律しよう」とか「依存しよう」と考えて行動を選択しているわけでなく、単に欲求を充足したいだけだと言っている所です。
 
根っこは同じなんです。では何によって自律と依存に分かれていくのでしょうか。そのお話は次回にさせて頂きますので、暫くお待ちください。