Vol.98「育成の位置づけ」

書籍名:情熱商人
著者:安田 隆夫
リンク: http://amzn.asia/gvburKQ

ー書籍からー

■規模拡大主義から業態創造主義へ
21世紀の成熟社会に求められるのは「拡大」とか「成長」ではなく、「持続可能性(サスティナビリティ)」というキーワードだ。そこでは、ナンバーワンとオンリーワンが相容れない概念となる。もちろん、当社が志向するのは後者のオンリーワンだ。
 
私の描くオンリーワン、すなわちこれからの時代に要請される流通企業のイメージは、「常に変化対応できる柔軟性を第一義とし、あまり売上的なものに拘泥(こうでい)せず、あらゆる意味で質的精度を高めながら持続が可能な有機的組織体」である。
 
20世紀の企業は量的な成長拡大が止まると同時に衰退が始まったが、21世紀型の企業はそうであってはならない。つまり、「拡大せずに成長する」という新たな企業の論理と概念が求められているのではないだろうか。
 
 
■優秀な社員を2割から8割へ
高度経済成長時代は、優秀な社員が2割、可もなく不可もない社員が5割、無能社員が3割で十分企業が回っていた。つまり、優秀な社員が2割いれば、残りの8割のそうでない社員を抱えることができたのだ。まさに「牧歌的な時代」だったわけである。
 
今の時代、成長しようと思えば、他の企業からパイをもぎ取るしかない。そのためには優秀な社員が必要になる。それも、他人が抱え込んだパイを奪い取る、知恵と気力と闘争心にあふれた社員である。10人の社員がいれば、最低8人がそうでなければならない。
 
要は、人材が玉石混交ではもはや通用しないのだ。
 
そのため、これからは計画的に育てていかなければならない。そうなるとはやり、企業理念や原理原則の徹底はもちろんのこと、統計だった「教育」が、「競育」の前段階で必要になる。
 
後継者問題を解決する上においても、次代の経営者育成を見据えた、体系的、システム的、本格的な教育に取り組むことが急務だと思っている。
 
 
■ドンキ流 人財開発論
そもそも私は、人材育成と教育といった”上から目線”の言葉が大嫌いだ。「人は育てられるのではなく、自ら育つもの」という考え方が権限委譲の前提である。
 
したがって「育てる」より、まずは人を「信じて頼む」こと。重視するキーワードは「育成」ではなく「信頼」である。そうして、(人が自ら育つ)自己育成の場を整備し、機会を与え続ける。これが当社の人材開発における基本姿勢だ。
 
研修や教育は、OJT本来の機能を正常かつ効果的に稼働させる補助手段と位置づけている。
 
昔は、莫大な仕事の量と時間が”質”を育てた。つまり、誰よりも多くの練習量をこなす努力型の人材が現場でどんどん頭角を現した
 
しかし、現在の当社の組織規模と時代性から、しかるべき労働的規制と配慮が欠かせない。素直に言えば、以前のように個人の”気合と根性”に頼るわけにはいかない。
 
要は、”量”を稼げないのだから、仕事の中身を濃くし、無駄なく精度を上げていくしかない。そのためにも、効果的な研修や教育が補助手段として必要になるという訳だ。
 
 
 
ーここからー
「21世紀は人価値の時代」だと言われます。個人的にもそのように思っています。私の現在の仕事は育成がメインなので、とても興味深く読ませて頂きました。
 
その中で強く強く同感したのが、育成は補助手段なんだということです。
 
「そんなの当たり前じゃないか」と思わるかも知れませんがそうでしょうか。皆さん、過去を思い出してみてください。多分、様々な研修を受講されてきたかと思いますが、実際の業務に活かされた研修って、どれだけありましたか。つまり、実践的で役に立つ補助的な研修がどれだけありましたかという事です。
 
個人的な感想では、限りなく少なかったのが実感値です。その原因が2つあると私は思っています。1つめは育成担当者の未熟さです。自分も含めてですが、育成担当者をきちんと育成している会社は驚くほど皆無で、殆どの育成担当者が独学で学んでいます。つまり我流。又は見よう見まね。かつ、任期も3年位で他部署へ異動し、知見も引き継がれない。結構最悪です。
 
私の言葉で言わせて頂くと、研修作り=良い映画作りになっています。つまり、本日の映画=研修は感動したよ。スゲー良かったよ。で終わっているのです。そのため、研修会場を出ると直ぐに映画=研修の内容を忘れていきます。
 
2つめは育成会社や受講者の評価軸です。受講者にとってつまらない研修はダメ出しがでるため、育成会社もそのような研修をしないように注意、努力をしているのですが、良い映画の時は受講者から高い満足度を得てしまうので、育成会社も良しとなるのです。
 
ですが単に良い映画でしかないので、補助手段になっていない。
 
ではなぜ補助手段にならないのでしょうか。私が行きついた結論は、研修に目的はあってもゴールがないのです。嘘と思った方は是非、過去のテキストやこれらか受講する際にゴールが明確化どうか見てください。思った以上に少ないですよ。
 
要は目的=意義や方向性はあるので、大きなズレはないのですが、ゴールが不明確なため、研修の中身が幕ノ内弁当(美味しいおかずのオンパレード)になっていて、ゴールを達成するためだけに考えられた内容(おかず)になっていないのです。
 
実際にあった経験談ですが、目標管理の研修を外部に依頼すると、大抵2日間の研修メリューが届きます。初年度は2日間で行ったのですが次年度はゴールを明確にしたところ、1日研修で対応することができました。かつ、受講者の満足はUPというおまけまでついて・・・。
 
今回お伝えしたかったことは2つで、1つめは育成の位置づけは補助手段なんだということを忘れてはいけないこと。そして2つめは、時代の流れもあり”量”を稼げないので、それを補う手段としてより一層良質な=現場で役に立つ育成が求められる時代になったということです。
 
いま受けている研修が、良い映画になっていませんか。