Vol.105「顧客本位は本当ですか・・・」

書籍名:決定版 日本経営品質賞とは何か
著者:社会経済生産性本部
リンク: http://amzn.asia/i4P4dGV

ー書籍からー

■アメリカ復活の鍵
マサチューセッツ工科大学が10年間の研究を経て1989年に発表した「メイドインアメリア 復活への提言」がある。
 
アメリカはただ日本の経営や、日本の競争力の源泉となった品質管理をそのまま導入することはなかった。米国は、「品質」を単に第三者機関がきめたものでなく、顧客と競争のあり方で決定される戦略的なものと捉えた。
 
つまり、誰を顧客とするのか、その顧客に競争企業よりも高い価値を提供できるかということから「品質」の要件は決められるべきと捉えた
 
そして、この顧客品質の問題は、問題対応の方法、プロセス改善、改善方針、方針を形成する組織のものの見方、考え方、そうさせている組織文化や風土に強く影響を受けるということも見出していっ
 
ここから、経営に関するすべての要素は顧客満足に結びつけるという考え方が生まれていったといってもよい。
 
 
■経営改善と経営改革
経営改善とは、決められたことをうまく行くためにさまざま工夫をこらすこと。もっと効率的に行うための工夫が改善である。
 
これまでのプロセスを作り出している考え方そのもの問題を発見し、その考え方を変えていくことが革新と位置づけている。従来の生産プロセスの持つ本質的問題を明らかにし、顧客価値創造のために新たなプロセスを創造することが革新である。
 
 
■革新は健全な組織でこそ
経営革新ができない組織と経営革新が進む組織には明らかに大きな違いがある。
 
社員の意識、考え方や思考能力、組織内での対話について経営革新が起こる組織とそうでない組織の違いは非常に大きい。
 
いつも顧客価値という視点でものを見ている組織は多くの問題に気づく。そしてその問題を掘り下げ、論理立てて説明する。だから顧客の問題について関係者で掘り下げた対話が行われ、顧客価値に結びつくアイデアが次々に創造される。
 
それに対して、内向きの価値を重視する組織は上司ばかり気にする。今まで通りを踏襲し、問題を問題と考えない。論理はすべて組織内でよく思われるための流れになる。中傷と非難、保身、言い訳が会議の大半を占める。
 
 
■よいプロセスを考えていけるよい組織と人材プロセス
高い顧客価値を生み出すプロセスを考えだすのは、会社の社員以外にいない。そうなるとよいプロセスが生み出せるような人づくりが非常に重要になる。
 
よい人を育てるには組織の社員一人ひとりに対する接し方が決定的になる。顧客価値に関する問題への気づきを高め、その問題を組織で共有し、高い価値に結びつく行動に向かっていくような組織を通じてのマネジメントが求められる。
 
組織は人の考え方、行動に大きな影響を与えることはいうまでもない。単純に効率を追求しても生産性が高まるかといえばそうではな
 
逆になってしまうことが多いということは過去からのさまざまな研究で明らかになっている。社会の役に立つこと、それを自分が担っていること、チームメンバーから一人の人間として尊重されていること、自分が会社にとって重要な存在だと認められていること。こうした組織と人の関係がやりがいを高め、その結果として高い顧客価値創造に結びつく
 
 
■商品企画・開発プロセス
多くの企業で「新商品企画会議」といったものがあり、関係する部門の代表が集まって討議する場がある。それが部門の立場や利益を主張する場となっていては意味が無い。
 
本来の姿は、営業部門の代表が市場や顧客の要望を的確に伝え、設計技術部門は、それに応えるために最も適した技術を選び、製造部門の代表は商品を市場に早く、安価に、安定して生産・供給する方法を考える場でなくてはならない。サービス部門の代表は顧客への商品の配送やアフターサービスのクオリティと効率を高めるための提案をすべきである。
 
 
■顧客本位の組織を作る
「お客様第一」とか「顧客満足度ナンバーワンを目指そう」を、スローガンに掲げていても、毎月の経営会議では売上進捗報告や生産出荷台数状況報告が主題では、誰も会社が顧客本位の経営に本気で取り組んでいるとは思わない
 
つまり売上、利益が経営トップや経営幹部の最大関心事であり、客価値創造に関することが後回しでは、顧客本位の企業風土は絶対に育たない
 
 
ーここからー
如何でしたか?今回、お伝えしたいことは2点です。
 
1つ目は、「品質」の捉え方です。品質の問題を顧客品質と考え、最終的に「顧客満足」に結びつけて考えたことはありませんでした
 
2つ目は、「顧客本位」です。顧客本位と言いながら、上を見て仕事をするなと言いながら、実態(現場で流れている問いが違う)場合はあるあるではないでしょうか。
 
当然ですが、それで顧客本位の企業風土は絶対に育ちませんよね。そりゃそうだ。勿論売上や利益は大事です。なおざりにすることは100%できませんが、顧客本位の前に売上や利益があるのは・・・。
 
同じようなことが工場でも言えるのではないでしょうか。例えば、スローガンに安全第一と掲げておきながら、現場で流れている一番の問いは生産性・効率化。これもあるあるではないでしょうか。
 
個人的に工場で起こる事故の背景に、「現場に流れる問い」が影響していると感じています。
 
もう一つ個人的な見解ですが、「企業風土とは、職場で流れている問いそのものだ」と思うのです。大事なのはスローガンではなく、職場の問いなのです。
 
皆さんの職場では、どのような問いが流れていますか。
その問いは、スローガン等と一致していますか。