■改善の3原則は「やめる→減らす→変える」
日本企業は「PDCA」や「報連相」が大好き。重要な内容ならわ かるが、重要でないものまで同じ労力や時間をかける職場が多い。 上司が安心のために部下にそれを求め、こまめにやる部下を評価し がち。
討論会などで経営が使うパワーポイント資料にも驚く。こんなに情 報満載で緻密な資料をつくるのに、いったい何人の社員の労力と時 間を費やしたのか。動画つきの凝ったものもある。
同じメールを複数の人に同時に送るCCメール愛用者が多い。大量 に届くCCメールを読むだけでも時間がかかる。
社内で許可を取るために複数の管理職に判子をもらう社員の姿は、 まるでスタンプラリーのように映る。
と一橋大学院教授 クリスティーナ・アメ―ジャン氏は指摘をしたうえで、説いていま す。
「強弱をつけず、すべて念入りに取り組むのは日本企業の弱い点だ 」。
改善というと難しく感じる人がいますが、シンプルかつ簡単な方法 があります。それは、業務改善の3原則といって、「やめる→減ら す→変える」の順に考えていく方法です。
■シンプルに考えるためのアドバイス
「バカな奴は単純なことを複雑に考える。普通の奴は複雑なことを 複雑に考える。賢い奴は複雑なことを単純に考える」。
これは、稲盛和夫さんの名言です。
例えば、パソコンでする事務の仕事を教えるとき、いきなり部分だ け説明する人がいます。画面を見せながら、「この空欄には、数字 の1を入れればいいから」という具合です。すると聞き手は、何の 仕事について教わっているのかチンプンカンプン。話がどんどん先 に進むと、ついていけなくなります。
一方、デキる人の教え方は、違います。
「今日は〇〇の仕事のやり方を教えます」と大テーマから入り、「 〇〇の仕事をするには、この端末を使います」と伝えてから、画面 操作の指導に移ります。それから、「空欄になぜ”1”を入れるの か」は、理由をつけてちゃんと解説してくれます。
この「全体から部分へ」のシンプルな論理的思考法は、あらゆる場 面で役に立ちます。
ーここからー
「社内で許可を取るために複数の管理職に判子をもらう社員の姿は 、まるでスタンプラリーのように映る」
私も複数の判子に意味があるのかと思っていましたが、スタンプラ リーのようだ!は言い得て妙ですね。
この手の話を聞くと、前東京都知事の石原さんの豊洲問題の報道会 見を思い出します。石原さんが「 確かに豊洲移転について判子を押したが、この豊洲問題は私だけの 責任ではなく、都庁全体の問題だ」と・・・。
気持ちは120%分かるのですが、だとしたら石原さんの判子は何 だったんだになりますよね。責任と権限は明確であるべきだと思う のです。
責任と権限が明確なら、スタンプラリーのような判子のオンパレー ドはなくなるとも思いますが、皆さんはどう思いますか。
判子のスタンプラリーを別の言い方で例えると、「船頭多くして船 山に上る」ようなものだと思うのです。
「バカな奴は単純なことを複雑に考える。普通の奴は複雑なことを 複雑に考える。賢い奴は複雑なことを単純に考える」。
これは本当に名言ですよね。さすが稲盛さんです。
当然ですが、複雑なことはなかなか解決しません。多分、賢い人で も無理でしょう。賢い人が複雑なことを解決できるのは、因数分解 し単純化、すなわち「見える化」することができているからではな いでしょうか。
当然ですが、見えないものを解決するのはとても難しいから・・・ 。
仕事柄、様々な受講生にお会いしました。その中で分かったことが 1つあります。それは、誰一人して「相手に悪意を持って接しよう とか、悪意を持って複雑にしようとしている人はいない」というこ とです。
言い換えると、複雑なことを単純に変える方法=原理原則を知らな い方が殆どです。
あなたは、複雑なことを複雑に考える派?それとも複雑なことを単 純に考える派?もしかして単純なことを複雑に考える派ですか。