Vol.111「基準を持っていますか!!」

書籍名:悪いヤツほど出世する
著者:ジェフリー・フェファー
リンク:http://amzn.asia/5ycNCT3

ー書籍からー

■はじめに
リーダーシップ教育産業が、コーチやコンサルタントの粗製濫造に責任があることは間違いない。彼らはサクセスストーリーを熱く語り、この通りにすればきっと成功できると安請け合いをする。どれも心躍るような筋書きで、わくわくさせられる。だがその効果のほどが検証されたことは一度もない。

ことリーダーシップに関する限り、フレクスナー以前の医学教育と同じで、データや知識に基づいて行動する人よりも、言葉巧みで説得力のある人が成功している。リーダーシップのカリスマ教祖たちに備わっているのは、科学的知識や実績ではなくて、知名度や人気である。

本書がフレクスナー報告のような影響力を持つ、などといった幻想は抱いていない。だが世の中を見回すと、やる気を失った社員、不満を抱く部下、悩める中間管理職があまりにも多く、その一方で、過ちを犯し、職を失うリーダーも後を絶たない。

こうした現状を見ると、誤ったリーダーシップ教育のあり方をなんとかしたい、という思いが沸いてくるのを抑え切れなかった。

■リーダー教育産業の失敗
リーダーは信頼を得よ、最後に頼れる人であれ、真実を語れ、人に(とくに顧客や部下に)尽くせ、控えめであれ、思いやりと理解と共感を示せ。どれも大変結構だが、効果のほどは疑わしい。

その一方には、職場の現状がある。やる気がなく、不平不満だらけで、上司は信頼されず、多くの社員が早く辞めたいとか上司を追い出したいと考えている。その結果、どんよりして活気のない職場が蔓延する。

リーダーシップ教育産業は失敗した。彼らの情熱は認めるとしても、効果があったという証拠はあまりにも乏しい。

こんなことを言うのは、けっして私一人ではない。リーダーシップをめぐる状況を調査した二人の心理学者によるれっきとした学術論文では、リーダーシップ教育への「こうした支出がよりよいリーダーを生み出しているという証拠はほとんどない」と結論づけられるている。ハーバード大学ケネディ・スクールでリーダシップを教え、公共リーダーシップ・センターを創設したバーバラ・ケラーマンも同意見だ。

■職場は不満だらけ
マッキンゼーのあるコンサルタントは、アメリカ企業のリーダーシップ開発費用は年間140憶ドルと推定している。にもかかわらず、職場は不満だらけ

リーダーシップ開発にこれほどの時間と資金が投じられているにもかかわらず、職場の状況は、アメリカでも世界を見渡してもいっこうに改善されていない。やる気をなくした不平不満たらたらの社員であふれている。

2012年に、人材コンサルティング会社マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティングが行った調査の結果によると、全世界で約3万人の被用者を調査した結果、国によってばらつきはあるが、28~56%がいまの仕事のを辞めたいと答えたという。

ギャラップが2012年に発表した調査報告によると、アメリカでは仕事に意欲的な被用者は全体の30%にすぎない。また142カ国で行った調査によれば、アメリカ以外の状況はもっと悪い。仕事に意欲的な労働者はわずか13%で、24%が怠けている。

一段と問題なのは、部下が上司に不満を抱いていることだ。それも、並大抵の不満ではない。2012年夏にパレード誌がアメリカ企業を対象に行った職場調査の結果を発表したが、それによるとなんと被用者の35%が、直属の上司の解雇と引き換えなら昇給を諦めてもいいと答えている

以上をまとめると、だいたいにおいて職場の状況は芳しくない。リーダーシップ教育のおかげで職場がよくなったという証拠は存在しない。

■リーダーシップは機能しているのか?
「リーダーシップのあり方と部下の仕事満足度の関係が近年注目されている」「マネジメントとリーダーシップは、社員の満足度を左右する極めて重要な要素である」「質の高いリーダーシップは、仕事満足度を予測するよい判断材料となる」といった指摘が目につく。多くの研究が示すように、リーダーシップが部下の仕事満足度や意欲や離職率に影響を与えるなら、職場の実態を示すデータを見る限り、リーダーシップがうまく機能していないことは明かである

■個人の利益と組織の利益
リーダーシップ教育産業は、「楽しくためになる」プログラムをマスターすれば、リーダーは部下に慕われ、職場の雰囲気と効率は向上し、リーダー自身はキャリアアップできるという仮定の下に成り立っている。だがこの仮定はまったく正しくない。

個人の利益と組織の利益の不一致が、これほど長い間リーダーシップが機能不全に陥った大きな原因の1つだと考えられる。

■「感動」はなんの役にも立たない
ルービンらは病院を劇的に改善することに成功した。患者満足度は40%から90%に上昇し、救急外来の待ち時間も大幅に短縮された。この目を見張る変身ぶりは、感動とはほとんど関係がない。

数値的改善の大半は、ルービンがパフォーマンス・マネジメント・システムに基づく明確な目標を設定し、リーダーシップ・チームを編成して進捗状況の管理を徹底したからにほかならない

あらゆる面で「基準はあるか」が問われ、基準が設定されれば「基準に達したか」が問われた。基準に対する計測結果はユニットごとにチャート化された。こうした努力が大幅な改善につながっている。

目標設定に関する研究や調査は、数十年前から広く行われてきた。どの研究でも、具体的で計測可能な目標を立て、定期的に計測するほうが、漠然と激励して興奮や高揚感を煽るよりはるかに効果的だ。

■「感動」を追いかけるのはやめよ
リーダーシップ教育産業。彼らは神話やサクセスストーリーや英雄譚を提供することにかけてはすぐれている。だが職場をよりよいところにしたり、リーダーの寿命を延ばしたり、といったことには、少なくともこれまでのところさしたる成果を上げていない。

ある意味でこれは、彼らだけの責任ではない。受講者が勇気や希望や感動体験を求め、そのために大金を払う用意があるからこそ、彼らはお客様の要求に応えて満足してもらおうとする。教育よりも感動を、有用なデータよりも高揚感を求めるお客にそれを与えるのは、当然の成り行きとも言える。

つまりリーダーシップ教育産業の欠落は、クライアントに、具体的にはカリスマ・リーダーを講師に招きたがる企業のCEOや人事担当エグゼクティブに、そうしてそうした講演や研修を受けて高評価をする受講者たちに由来するのである。

 

ーここからー
「悪いヤツほど出世する」。題名とは裏腹に中身はリーダーシップについて書かれている書籍でした。そして、リーダーシップ教育産業は欠落しているということを、様々な事例を引用しながらこれでもかという位書かれていました。

引用部分でも書きましたが、多くの企業がリーダーシップ教育に力を入れているならば、世界中の企業がよくなっていないとおかしいのに、現実はそうでもなく、多くのビジネスパーソンが不満に思っている。

以前の会社では育成をメインに担当していたので、とても耳が痛い言葉ですね。苦笑

「感動」はなんの役にもたたない。この部分を読んでいて思い出したのが、とある異業種研修のリーダーシップの講義です。とても魅力的な講師で情熱があり、いい意味で変人の方でした。その講義で伝わってきたのは、リーダーシップとは「愛だ!」でした。これは、多くの受講生も連呼していたので、とても伝わったことなんだなぁと思いますが、冷静に考えれば、その後のアクションにはあまり結びついていないのも知れません。
※個人的な感想

この本を読んでいて、シンプルにそうだよなぁと思ったのは「あらゆる面で基準を持つ」です。そして基準が設定されたら「基準を達成したかを問う」です。

私は夢はかなわないと思っています。夢を目標=ゴールにできたら、かなうと思っています。これも基準を持つことですよね。

あなたは基準を持っていますか。