Vol.152「宮本武蔵をご存知ですか」

書籍名:堕落論
著者:坂口安吾
詳細はこちら: https://www.amazon.co.jp/dp/4101024022/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_3avtCb9CN210S 

―書籍からー
■晩年の宮本武蔵と細川家とのエピソード
晩年宮本武蔵が細川家にいた時、殿様が武蔵に向かって、うちの家来の中でお前のメガネにかなうような剣術の極意に達した者がいるだろうか、と訪ねた。

すると武蔵はが一人だけございまうと言って、都甲太兵衛(とごうたへえ)と言う人物を推奨した。

ところが都甲太兵衛という人物は剣術がカラ下手なので名高い男で、また他の取柄というものも見当たらぬ平凡な人物である。

殿様も甚だ呆れてしまって、どこにあの男の偉さがあるのかと訊いてみると、本人に日頃のの心構えをお訊ねになれば分かりましょう、と言う武蔵の答え。そこで都甲太兵衛を呼び寄せて、日頃の心構えというものを訊ねてみた。

太兵衛は暫くは沈黙していたが、さて答えるには、自分は宮本先生のおメガネに叶うような偉さがあるとは思わないが、日頃の心構えということについてのお訊ねならば、なるほど、笑止な心構えだけれども、そういうものが一つだけあります。

元来自分は非常に剣術が下手で、また、生来臆病者で、いつ白刃の下をくぐるようなことが起こって命を落とすかと思うと夜も心配で眠れなかった。とはいえ、剣の才能がなくて、剣の力で安心立命をはかるという訳にも行かないので、結局、いつ殺されててもいいという覚悟が出来れば救われるということを確信するに至った

途中省略

すると傍に控えていた武蔵が言葉を添えて、これが武道の極意でございます、と言ったという話である。

 

 

―ここからー
こののち都甲乙太兵衛は重く用いられて江戸詰の家老になったそうです。

先日、テレビを見ていたら外国人に影響を与えた日本人の一人に宮本武蔵が上がっていました。武蔵が晩年になって主筆した「五輪の書」の功績によるものでした。

五輪の書に興味のある方は下記を参照ください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%94%E8%BC%AA%E6%9B%B8

宮本武蔵の生涯をよく知らない人は下記を参照ください。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E6%9C%AC%E6%AD%A6%E8%94%B5

ここまで読むと、天下の剣豪宮本武蔵は凄い人だ!になるのですが、堕落論の著者である坂口さんは、先ほどのエピソードの後で下記のように言っています。

<一部抜粋>
武蔵は都甲太兵衛の「いつ殺されてもいい」覚悟を剣法の極意だと言っているが、彼自身の剣法はそういう悟道(ごどう)の上へ築かれたものではなかった。晩年の著『五輪の書』がつまらないのも、このギャップがあるからで、彼の剣法の上にはなく、個性の上にあるのに、悟道的な統一で剣法を論じているからである。

武蔵の剣法というものは、敵の気おくれを利用するばかりでなく、自分自身の気おくれまで利用して、逆にこれを武器に用いる剣法である。溺れる者藁も掴む、というさもしい弱点を逆に武器にまで高めて、これを利用して勝つ剣法なのだ。

これが本当の剣術だと僕は思う。

<ここから>
書籍の中では更に細かく論じているので詳細は渇愛します。

私は宮本武蔵を崇拝している訳ではありませんが、吉川英治の宮本武蔵は読破しましたし、大河ドラマや12時間TVなどで北大路欣也さんの宮本武蔵を見た知見で話をさせて頂くならば、『良い思うところは良い』、それでいいのではないでしょうか・・・。

実際に宮本武蔵が言っている通り「覚悟」が自分にある時と、ない時の決断やその後の足掻き?には天と地の差があると強く感じますし、失敗した時の後悔感も薄いように感じてす・・・。苦笑

話が長くなりましたが、言いたかったのは「覚悟」って重要だと思いませんかというお話です。
あなたはに「覚悟」はありますか。