Vol162「生産性を上げるには」

書籍名:日本人の勝算
著者:デービッド・アトキンソン
詳細はこちら: https://www.amazon.co.jp/dp/4492396462/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_w3cOCbCH1NXXV

―書籍からー
◾️マッキンゼーの提言
生産性向上は以前のように各企業に任せておける問題ではなくなりました。先進国では既に、国策として国が主導しなくてはいけない時代を迎えているのです。

◾️生産性と最低賃金
現在、欧州を中心に、生産性を向上させる効果がもっとも期待され、実施されている経済政策は、継続的な最低賃金の引き上げです。

最低賃金と生産性の間には、強い相関関係が認められているからです(相関関係は0.84)

◾️イギリスの最低賃金
イギリス政府は1993年に最低賃金制度を導入しました。その後、何年間にもわたって、毎年最低賃金を引き上げてきました。
1999年 4月1日 3.60ポンド
2000年10月1日 3.70ポンド
2001年10月1日 4.10ポンド
2002年10月1日 4.20ポンド
2003年10月1日 4.50ポンド
 途中抜粋
2007年10月1日 5.42ポンド
2012年10月1日 6.19ポンド
2016年10月1日 7.20ポンド
2018年 4月1日 7.83ポンド

◾️収入格差
1990年から2012年の間に、12ヶ国の先進国で収入格差がもっとも大きく縮小したのがイギリスだった事が報告されています。
※因みに一番格差が開いたのがアメリカで、日本も格差が広がっています。唯一格差が縮小したのはイギリスのみ

◾️格差縮小と経済成長
最上位層と最下位層の収入格差の拡大は、平等や公平性の観点から問題視される事が多いのですが、0ECDはそれだけでなく、最上位層と最下位層の格差拡大が経済成長にとって非常に悪い影響を与えることを指摘しています。

なぜなら、最上位層が高騰しても経済成長には結びつかない一方、最下位層の収入減は経済に悪影響を及ぼすからです。したがって、高所得者層に対する減税などの政策より、最低賃金レベルの所得階層の収入を増やす政策の方が、経済成長を促すのに効果的だと断言しています。

◾️最低賃金を引き上げると失業者が増えるのか?
最低賃金を上げると失業者が増えるという理屈は、新古典派経済学の説に由来します。

研究が進むにつれて、実際の労働市場は教科書に書かれているほどには効率的でない事がわかってきました。

800以上の論文を分析し、その結果を検証した結果、もともと最低賃金が設定されていた場合、最低賃金の水準を引き上げても、総じて雇用が減ることはないと断言しています。

◾️世界で確認されつつある最低賃金引き上げの効用
最低賃金を引き上げることにより、女性、若者、高齢者など、それまで仕事をしていなかった階層の人たちが、新しい水準の賃金に刺激を受け、労働市場に参加するようになり、労働市場の拡大につながったという結論です。

新古典派の経済学が示唆する単純で非現実的な理屈が否定された今、上手に最低賃金を引き上げる政策が、経済成長、女性活躍、格差の是正、福祉問題、財政問題など、ありとあらゆる分野における問題の解決に大きく貢献するのではないかと期待されています。

◾️各国の最低賃金(抜粋)
オーストラリア 11.60ドル
フランス    11.03ドル
ドイツ     10.56ドル
イギリス     9.38ドル
アメリカ     8.50ドル
カナダ       8.18ドル
韓国        7.36ドル
日本        6.50ドル
スペイン      6.30ドル
ギリシャ      5.65ドル

◾️最低賃金は「経済政策」
諸外国では、この15年間で徐々に、最低賃金を経済政策として位置付けるようになっています。
※日本では最低賃金の位置付けが社会政策

最低賃金の設定や引き上げを経済政策として捉える欧州とは違い、日本の最低賃金は経済政策の範疇ではないのです。日本では、最低賃金は厚生労働省の所管事項です。厚生労働省の所轄は福祉です。すなわち、社会政策です。

因みに、イギリスで最低賃金を担当するのは、日本で言う経済産業大臣の管轄なのは、最低賃金が経済政策と位置付けられている証左です。

◾️なぜ日本の最低賃金はこんなに低いのか?
私は、最低賃金が厚生労働省の管轄におかれている事が原因の1つだと推察しています。

◾️労働者搾取資本主義の終焉
今の日本経済は、国民の能力にふさわしい給料を支払う構造になっていません。人材の評価は世界第4位なのに生産性は28位ですから、日本の労働者は世界一搾取されている状況にあります

 

 

―ここからー
生産性を上げるには、最低賃金を計画的に上げてることだったんです。これって目からウロコではありませんか。

日本人の多くが最低賃金を上げたら失業率が増える、他社との競争に負けると思いがちですが、イギリスの結果やその他の論文等からも、そのような事がない事が立証されています。これも目からウロコでした。

この間、仲の良い友人達と飲んだ時に賃金の話になりました。最低賃金をあげれば生産性が向上するだよねと・・・。そしたら、今の賃金=給料分も働けていないのに、更に賃金が上がるのは如何なものかということになりました。

とてもその通りだと私も思います。ただ、1点間違ってはならないポイントがあるかと思うのです。それはどんなに賃金が上がろうが、どんなに賃金が下がろうが、給料以上の仕事をしていないと感じる人はきっといるでしょうと言うことです。

何が言いたいかと言うと、国として経済として生産性を高める話と、企業として個人として生産性を高める話は全くの別物だと思うのですが如何でしょうか・・・。

今回、お伝えはしていませんが、人口が減ることのデフレインパクトの怖さもこの本を読んでシミジミと感じました。この本は、多くの方に是非読んで欲しい1冊です。