Vol.190「社会的市場経済」

書籍名:ドイツ人はなぜ、1年に150日休んでも仕事が回るのか
著者:熊谷徹
詳細はこちら: https://www.amazon.co.jp/dp/4413044622/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_RQL2DbRDY47JX

―書籍からー
■長期休暇
エクスペディアの調査(2012年)によると、日本では有給休暇を取りにくい理由として、①経済的な余裕がない、②同僚から否定的な見方をされる、③家族等とスケジュールが合わない、④計画不足のため、⑤休暇の翌年の繰り越しが出来ないため、という理由が挙げられている。

これらの理由の中で、「同僚から否定的な見方をされる」という理由は、日本独特である。しかも、日本の回答者の中で「同僚から否定的な見方をされるので、有給休暇を取りにくい」と答えたの人の割合は17%で、インドと並んで世界で最も高かった。

◾︎規格化が進んでいるドイツの文房具
私は、書類を整理するための文房具が世界で最も充実している国は、ドイツだと思う。日本にも良い文房具は多いが、ドイツがすごい点は、文房具が規格化されている事だ。日本の文房具は、ドイツほど規格化が進んでいない。つまりドイツでは、文房具メーカーが異なっても、書類バインダーやファイル、書類棚の大きさが統一されているのだ。

◾︎日本人とドイツ人の考え方の違い
私は、ドイツ人の労働時間が短い最大の理由は、法律による規制だと考えているいる。ドイツ人は、日本よりも法律や規則を守る事を重視する民族だ。彼らは日本人よりも自己主張が強いが、法律と規則の前には、おとなしくなる。

私はこの国に25年間住んできたが、「この人たちは人間の感情よりも、法律や規則を重視する人だ」と感じたことが何度もあった。

日本では「清濁併せ飲む」という言葉には、「物事を杓子定規で捉えない、懐の広い人」という前向きな意味があるが、ドイツにはこのような形容詞はない。日本には「水清ければ魚棲まず」という諺もあるが、このような諺も、ドイツにはない。

ドイツ人は、白黒や善悪をはっきりさせる事を好む。

また、グループの調和を重んじる日本に比べると、ドイツははるかに個人主義が強い社会である。
「全ての人は、自分の事だけを考え、神様は全ての人の事を考える」は、個人主義社会ドイツを象徴する言葉だ。

まとめると、ドイツ人は、「人々が全体の調和よりも、個人の利益を追求する社会で、最低限の秩序を守るためには、法律や規則で市民や企業の行動を律する必要がある」と考えているのだ。 

◾︎社会的市場経済
1953年に創立され、現在もテュービンゲンにある「社会的市場経済協会」によると、社会的市場経済とは、市場原理主義による成果を、社会的バランスと組み合わせようとするものであり、通貨の安定性と高い就業率を前提にする。

つまり「社会的市場経済」の根底にあるのは、「企業活動は株主や社員、経営者の個人的な利益だけでなく、公共の利益をも増進するべきだ」という考え方である。

この経済システムは、成果を生むための競争を基盤とするが、競争が他者の存在を脅かすような事態は、防がなくてはならない。つまり、米英型の自由放任主義とは一線を画すという事だ。

社会的市場経済では、政府が農業への援助やエネルギー源の選択など、大規模な構造的調整を行い、企業活動の枠組みを作る。企業は勝手気ままに利潤を追求するのではなく、政府が決めた枠組みの中でプレーしなくてはならないのだ

また同協会は、「社会的市場経済とは、自由で人間的な経済・社会秩序である。社会の成員一人一人を置き去りにしてはならないが、同時に個人は自分に課された責任を果たさなくてはならない」と定義している。

 

 

―ここからー
「社会的市場経済」という言葉は、聞いたことがあるようで聞いたことがない言葉でした。逆にこの言葉から思い出した言葉は、日本と中国を比較して日本を「資本主義社会経済」、中国を「社会主義資本経済」です。

では、ここで簡単にこの4つ意味を自分なりにまとめてみます。
1:社会的市場経済
  ・ドイツ型(資本主義)
  ・政府が決めた枠組みの中でプレー
  ・賃金格差が小さい

2:資本主義社会経済
  ・日本型(高度経済成長時代の日本)
  ・賃金格差が小さい
  ・護送船団方式(横並び主義)

3:社会的資本経済
  ・中国型(社会主義)
  ・強い企業が勝つのは当たり前
  ・賃金格差が大きい

4:自由放任的市場経済
  ・米英型(資本主義)
  ・強い企業が勝つのは当たり前
  ・賃金格差が大きい

経済にクローズアップするとドイツとかつての日本の経済に関する考え方は近かった。中国と米英の経済に関する考え方もまた近いという事です。

私の私見ですが、私は資本主義社会経済が人間が人間らしく生きていく社会を継続させるには、現時点で一番良い考え方だと思っています。

日本の高度経済成長時代、日本人は1億総中流社会、即ち日本人のほぼ全てが中流階級で、突出した金持ちがいない事を表した言葉です。自分は決して金持ちではないが貧困者でもない。そして、横を見ても自分と同じような人が多いという例えでもあります。

悪く言えば横並びです。そういう意味では社会主義のように強制的に制度で働いても働かなくても横並びにしたのではなく、資本主義でありながらある意味横並び状態を実現したと思っています。

その高度経済成長時代と今を比べて如何でしょうか。現在はアメリカのように格差社会が広がりつつあり、かつ、ワーキングプアが問題視されています。シングルマザーも増え、年収200万円以下で子供を養っている方もザラになりつつあります。先日もクローズアップ現代で、非正規公務員の実態も紹介していました。

この先に未来はあるのでしょうか。個人的にはあまり明るい未来は感じられません。そのような日本でドイツの「社会的市場経済」は一筋の光を日本へ示唆してくれるのではと思ったのご紹介しました。

実際、日本人は「社会的市場経済」に近い体験もしているので、よりリアルに感じることが出来ると思うので・・・。

本日は以上です。